私は虫が苦手です。
しかしながら、3年ほど前、息子の熱意に負けまして、はじめてアゲハ蝶の幼虫を飼うことになりました。
そして今日まで、アゲハ蝶の幼虫を羽化まで育てることに何度も成功しています。
今回は、虫が苦手な母が子育てや家事のできるだけ負担にならないように育てるには?と試行錯誤した末にたどり着いた、アゲハ蝶の幼虫の飼い方を紹介しようと思います。
わが家の金柑とサンショウの木に産んだ卵からかえった幼虫を、どう育てているのか、虫にくわしくない方にもわかるようにお伝えします。
虫は苦手でも、責任を持って育ててきました。
- アゲハ蝶の幼虫の飼い方を知りたい
- 子どもが蝶の羽化まで観察したいと言っているが、サポートできる自信がない
こんな方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ここから下には、幼虫の写真を載せています
苦手な方はご注意ください
ナミアゲハの食草「サンショウ」「ミカン科の植物」
飛んでいるアゲハ蝶はよく見かけますよね。
しかし、幼虫はあまり見かけない気がしませんか?
ある日、息子に「アゲハ蝶の幼虫を飼いたい」と懇願されたので、親子で公園の茂みを一生懸命探しました。
しかし、アゲハ蝶の幼虫を見つけることができませんでした。
帰宅後に図鑑を見て、やっとその理由がわかりました。
アゲハ蝶(ナミアゲハ)の幼虫はサンショウやミカン科の木の葉っぱしか食べないのです。
そして、アゲハ蝶だけではなく、どの虫もご飯として食べる葉っぱ(食草)が決まっていることを、この時にはじめて知りました。
やみくもに探せば見つかるわけではなかったんですね!
しかし、植物にもさっぱりくわしくない私は、公園でミカン科の木やサンショウの木を見つけられる自信がありませんでした。
しばらくどうしようか悩みましたが、きっとアゲハの幼虫を育てる経験は息子の成長にもつながるし、なにより息子の願いを叶えてあげたいという想いがあり、アゲハ蝶が卵を産む木(食草)を求め園芸店へ足を運んでみることにしました。
そして、園芸店で、アゲハ蝶の中でもっともポピュラーなナミアゲハの食草である金柑の木を見つけ、買って帰りました。
さらに後日、ナミアゲハの食草であるサンショウの小さな苗木もスーパーで見つけて購入しました。
こうして、我が家に金柑とサンショウの木をお迎えし、アゲハ蝶のお母さんが卵を産んでくれるのを待つことにしたのです。
幼虫の誕生・1齢幼虫
ナミアゲハのお母さんは食草にしか卵を産みません。
ある日、葉っぱに1㎜ほどの黄色い小さな卵を見つけました。
すると、4~5日後にナミアゲハの幼虫が産まれてきました。
よく目をこらして見ないとわからないくらい小さいです。
この子は金柑の木で産まれ、葉っぱをムシャムシャ食べて大きくなっていきました。
2~4齢幼虫
幼虫は数日ごとに脱皮を繰り返しながら、大きく成長します。
昆虫は、初めての脱皮の後は2齢幼虫、次の脱皮の後は3齢幼虫・・・のように呼ばれています。
ナミアゲハの幼虫は4齢までが黒と白の色をしています。
この写真の幼虫は、おそらく3齢くらいのころだったかと思います。
終齢(5齢)幼虫
4齢幼虫が脱皮をし、終齢幼虫になりました。体の色が緑色になりました。
このころの幼虫は食欲旺盛で、とにかくよく食べます。
えさがなくなってしまわないように、気をつけなければいけないほどです。
前蛹(ぜんよう)・蛹化(ようか)
終齢幼虫になってから1週間ほどで、さなぎになる準備が始まります。
羽化を観察する場合は、幼虫がさなぎになる準備を始める前に、枝ごと家にある飼育ケースなどに移さなくてはなりません。
幼虫はさなぎになる場所を求めて、うろうろ歩き回ります。
それもけっこうな距離を歩くのか、この段階で外にいた子たちは今まで全員行方不明になっています。
そのため、羽化の観察をしたい場合は、幼虫を見失う前に室内に移して飼う必要があります。
室内に移す時期のだいたいの目安は、終齢幼虫になってから1週間ほど経ち、体がじゅうぶんに大きく育ったころです。
幼虫が緩いフンをするのは、さなぎになる合図です。
ケースを動かさないように注意して、静かに見守ります。
口から糸を吐き、体を枝に固定させて前蛹になります。体が縮んでいますね。
前蛹になった1~2日後、さなぎに変身します。
こちらは2ℓのペットボトルを利用した飼育ケースです。(様子が見えにくく、すみません)
ペットボトルの上の部分を少しカットして、上に排水溝ネットを被せ、輪ゴムで止めています。
市販の飼育ケースは使用後に洗うのが面倒ですが、ペットボトルの飼育ケースは使い捨てできるので楽です。
虫が苦手な私が、できるだけ無理なくやってきた方法です
ペットボトルを利用した虫かごは、下の記事を参考に作ってみてくださいね。
羽化
暖かい季節であれば、室内で過ごしたさなぎは10日ほどで羽化していました。
寒くなってくると、蛹の状態で冬を越します。
羽の黒っぽい色が透けて見えてくると、そろそろ出てくる合図です。
ペットボトルの飼育ケースでさなぎになったあとは、広めの段ボール箱や、以下の商品のようなメッシュ素材でできた大きめの昆虫観察用のケースに移して羽化を観察しています。
写真はさなぎから出た直後のナミアゲハの成虫ですが、しばらくはこのように羽が縮んでいます。
2時間くらい経つと、美しいナミアゲハの姿になり、自らの力で飛んでいきます。
幼虫を外で飼う場合のメリットと注意点
このように、我が家ではナミアゲハの幼虫を、基本ほったらかしで育てています。
「触らなくて良い」これが虫が苦手な私にとって、ナミアゲハの幼虫を外で飼う一番のメリットです。
そして、子育てや家事のできるだけ負担にならないという点では、「掃除」「餌の交換・管理」の必要がない外で飼うのがオススメです。
ナミアゲハの幼虫はよく食べ、大量のフンをします。
室内の飼育ケースの中で飼うと、掃除が面倒です。
しかし、外で飼えば、フンは土の上に落ちるだけなので掃除の必要はありません。
また、室内の飼育ケースで飼うと、餌の葉っぱを枝ごと切って与えます。
そうすると、初日はいいのですが、段々と葉が乾燥してしまいます。
乾燥した葉っぱは使えなくなり、捨ててしまうことになってしまい、もったいないです。
新鮮な葉っぱを少量ずつ毎日あたえるとなると、餌の交換が面倒です。
庭に植えた木(鉢植えでも可)でそのまま幼虫を飼うと、常に新鮮なえさをあたえることができますし、楽なのです。
ただ、ひとつだけ注意点があります。
それは寄生虫です。
ナミアゲハの幼虫に寄生するハチやハエがいるのです。
対策としては、木にネットを被せておくことくらいでしょうか?
寄生虫が心配になって、最初から室内で飼ったこともあるのですが、我が家ではうまく育てられませんでした。
大きく育たなかったり、さなぎにならなかったりして、どうがんばってみても、室内育ちの子は外で育った子の食欲や大きさにはかなうことはありませんでした。
我が家ではこれらの理由から、今のところ外で育てる方法で落ち着いています。
【以下、2024年5月追記】
はじめて寄生虫に寄生されてしまいました。
幼虫は大きく育ち、順調にさなぎになり、蝶になって出てくるのを親子ともに楽しみに待っていました。
しかし、さなぎからでてきたのはアゲハ蝶ではなく寄生虫でした。
この寄生虫についても記事を書きましたので、もし興味がある方は読んでみてください。
まとめ
幼児だとまだ一人でお世話できないので、どうしても親が手伝うことになります。
ここで実践している方法は「できるだけ楽な方法」とは言いましたが、「羽化を観察するために室内に入れるのは抵抗がある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
虫が苦手な方にとっては、近くに虫が存在するだけでゾワゾワしてしまうものです。
しかし、少しがんばって親が我慢してみると、「我慢したかいがあったな」と思えるくらい、いいところがあります。
観察している間は静かにしてくれるので助かるし、何よりとても楽しそうです。
アゲハ蝶の観察をしたことを子どものころの楽しい記憶として覚えていてくれると親としてもうれしいですよね。
小学生以降の理科の授業でも、この経験があるかないかで理解度もずいぶん違ってくるはずです。
虫が苦手じゃない家族がいれば、ぜひ積極的に手伝ってもらってくださいね。
幼虫からきれいなアゲハ蝶になる瞬間は感動しますよ。
きっと家族の素敵な思い出の1ページになることでしょう。
[参考文献]
- 小池啓一・小野展嗣・町田龍一郎・田辺力(2020)『小学館の図鑑NEO 昆虫』小学館
- 阪口浩平・宮武頼夫 他(1983)『むし くらしとかいかた』ひかりのくに