もうすぐ6歳になる虫が好きな息子は、幼稚園で毎日虫捕りをして遊んでいます。
わが家ではどうしても飼いたい虫は持ち帰り、親子で飼えるかどうかを話し合うルールにしているのですが、この日息子が幼稚園から持って帰ってきたのは毒々しい色のツマグロヒョウモンの幼虫でした。
息子は以前から「ツマグロヒョウモンの幼虫を飼いたい」と言っていたのもあり、餌を用意することもできたので飼うことを許しました。
ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科に属する蝶で、羽の縁が黒く、動物の豹のような模様が特徴の蝶です。
小学館の図鑑NEO『イモムシとケムシ』によると、1980年代までは近畿地方以西でしか見られませんでしたが、現在では関東地方でも身近な蝶になったそうです。
私は関東地方に住んでいますが、確かに成虫が飛んでいるのを割と見かけます。
今回は、そんなツマグロヒョウモンの幼虫(終齢幼虫)が蝶になるまでの記録を記事にしました。
- ツマグロヒョウモンの幼虫の飼い方を知りたい
- 幼虫から蝶になるまでの課程をくわしく知りたい
という方に向けて、観察日記のような形で写真を交えてお伝えしたいと思います。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
当記事では、幼虫(イモムシ)、さなぎ、蝶の写真が出てきます。
苦手な方はご注意ください
小学館の図鑑NEO『イモムシとケムシ』はこちらの記事で紹介しています
息子がつかまえてきたツマグロヒョウモンの幼虫
息子が幼稚園でつかまえてきたのは、全長4㎝の終齢幼虫(次回の脱皮でさなぎになる幼虫)2匹です。
ツマグロヒョウモンの幼虫は珍しいわけではないと思うのですが、生きている状態の幼虫を見たことがありませんでした。
息子は何年も前から「ツマグロヒョウモンの幼虫を育てたい」と言っており、お迎えの時には「ついに見つけた!絶対に育てたい!」という気持ちでいっぱいでした。
その場でリリースすることは無理だったので、とりあえず家に持って帰り、そこから餌が準備できるかどうかの話し合いをすることにしました。
食草(餌)はスミレ科の植物
ツマグロヒョウモンの幼虫の食草を調べてみると、スミレ科の植物でした。
家にスミレ科の植物がなかったので、今の時期(7月17日)に園芸店の店頭にならんでいるスミレ科の植物は何があるのかをインターネットで調べてみました。
スミレ科のパンジーやビオラ、他のスミレも春までしか取り扱っていないようでしたが、息子から「スミレがなかったら、幼虫は元いた場所に返す。でもスミレが売っているかもしれないから園芸店へ行きたい」と熱心にお願いされたので、諦めてもらうためにもダメ元で園芸店へ向かいました。
近所の小さな園芸店へ到着し、探してみましたが、やはり見つかりません。
店員さんに「この時期にスミレ科の植物は置いてないですよね?」と聞いてみたところ、なんと「ちょっとならありますよ!」と思ってもみない答えが返ってきました。
正直、絶対ないと思っていたのに・・・強運!!
案内されたコーナーには、種類がバラバラの葉だけになったスミレの苗が集められていました。
その中から、ご機嫌な息子が選んだ元気そうな苗を買って帰ることにしました。
早速、鉢に植え替えて、虫かごの幼虫たちを乗せてあげました。
すると、ものすごい勢いで葉を食べ出した幼虫たち!
ものすごい食欲です。
どうやって育てようかいろいろ考えましたが、今回は大きなメッシュ素材の飼育ケースの中に、スミレの鉢ごと入れて飼育することにしました。
上の写真の飼育ケースは2年程前にAmazonで購入しましたが、現在同じものは見つかりませんでした。以下の商品がうちの飼育ケースと近いです
昆虫の食草の図鑑はこちらの記事で紹介しています
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スミレを食べまくるツマグロヒョウモン
園芸店で購入したスミレは、5日で食べ尽くされてしまいました。
買ってきた時は、「ちょっと多かったかな?」と思っていたのですが、全然足りなかったです。
再び同じ園芸店へ行ってみると、私たちの後に買った人はいなかったようで、まだ残っていました。
買おうとしたスミレの葉の裏を見たら、卵からかえったばかりのツマグロヒョウモンの幼虫が2匹ついており、息子は「これがいい」と言い張りましたが、「全滅するよ」と言い聞かせ、それを除いた苗を4つ購入してきました。
ツマグロヒョウモンの幼虫が飼いたい場合は、園芸店の苗をチェックするのもいいですね
食べ尽くされた茎だけのスミレとまとめて、さらに大きな鉢に植えることにしました。
贅沢なスミレの寄せ植えを作りました。
もともと少なかった園芸店のスミレの苗は、残りが2~3しかありません。
そして、残りの苗はどれも虫食いで葉がほとんどない状態でした。
この一週間に他の2店舗の園芸店に行ってみましたが、どちらも時期外れのスミレは売っていませんでした。
今回の餌を食べ尽くす前にさなぎにならないと、全滅するかもしれません。
これでスミレは最後。なんとか足りてほしい・・・
幼虫からさなぎへ
翌朝、1匹が飼育ケースの天井にぶら下がり、さなぎの準備段階の前蛹(ぜんよう)の状態になっていました。
もう1匹は半日遅れて前蛹になりました。
さなぎになる時にぶら下がるということで、割り箸でTの形にしたものを土にさしておいたのですが、そこは気に入らなかったようです。
すると、その日のお昼過ぎ、朝に前蛹になっていた幼虫がさなぎになるための脱皮を開始しました。
体を大きくブンブンと揺らしながら数分で皮をすべて脱ぎ捨て、さなぎになりました。
その日の夜には、枯れ葉にそっくりな姿になり、キラキラ光る金色のとげが出現しました。
ツマグロヒョウモンの幼虫が前蛹になってからさなぎになるまでは、24時間かかりませんでした。
ナミアゲハは前蛹の姿で丸1日過ごしているので、ツマグロヒョウモンの方が前蛹からさなぎになる時間が短いんですね。
ナミアゲハの成長の様子は、こちらの記事でくわしく紹介しています
さなぎから蝶へ
さなぎになってから8日経過した7月31日の夜8時ごろ、さなぎが段々と黒くなってきました。
そして、翌朝6時頃には全体が黒く変色していました。
こうなると羽化が近い合図です。
バタバタと慌ただしい朝です。
ちょっと目を離した隙に、美しい蝶が出てきていました。
蝶が羽化する時間帯は朝が多く、いつもバタバタしたり出かけたりして見逃してしまうんですよね。
この日は8時頃には外出する用事があり、夕方帰ってきたら2匹目の羽化も終わっていました・・・。
羽化は見ることができなかったけど、無事に蝶になれてよかった!
終齢幼虫の段階で家へ来たので寄生虫にやられていないか心配でしたが、無事に2匹とも成虫になることができてほっと一安心。
本来はつかまえてきた幼稚園へ放すべきですが、夏休み中なのと近所ということで、今回は庭の花の上に置いてあげることにしました。
羽の模様を調べたところ、2匹とも雌でした。
餌にしていたスミレは大きく育てて、来年は卵から育ててみたいと思っています
まとめ
息子が幼稚園でつかまえてきたツマグロヒョウモンの幼虫でしたが、季節外れのスミレが運良く手に入り、美しい蝶まで育てることができました。
ナミアゲハでも感じるのですが、さなぎから出てきたばかりの蝶って本当にきれいです。
幼虫を育てるためにはある程度の量のスミレが必要ですが、ツマグロヒョウモンは毒もありませんし、簡単に飼育することができます。
ぜひ、お子さんと一緒に観察してみてくださいね。